「釣り禁止」は減らせるか

「釣り禁止」は減らせるか

はじめまして。沖縄の駆け出しローカル漫画家として活動しているsacomと申します。これまで釣り雑誌のライターや遊漁船の経験があり、ペースは落ちてしまいましたが、今でも時間があればロッド片手に釣り場へ足へ運んでいます。

 20年以上釣りを親しんでいる方なら感じるかもしれませんが、「○○が爆釣」などのような景気の良い話は年々少なくなり、釣り人のテクニックと根性、または運がないと満足な釣果は得られない時代になってしまいました。小魚すら減っていますね…。

 釣りが楽しめるだけまだ幸せな方。今まで釣りを楽しめていた漁港には「釣り禁止」が明示されるようになり、本格的な釣り人の締め出しがはじまっています。

港湾での釣りは”黙認”と心得る

 もう15年以上前のことでしょうか。那覇の三重城小船溜りがゴミ問題により「全面釣り禁止」になると噂されたことがありました。那覇港管理組合の担当者に話を伺いに行き「港湾は釣りが認められているわけではなく、市民の親水のために黙認されている」旨の議会議事録を見せてもらったことがあります。また、同時にゴミ問題や場内での事故の懸念などの指摘も教えていただきました。

 親水の観点という面でも「海はみんなのものであり、釣りを楽しむ権利がある」と主張する釣り人もいるかもしれませんが、本来、港湾は船舶や漁業者が利用する施設であり、利用者にも安全かつ綺麗に使う権利があります。

 釣りという遊びは「あくまでも黙認」という立場でしかなく、釣り人がトラブルを起こせば、管理者権限でいつでも締め出しが出来るということを理解しなくてはなりません。

釣り場で起きるさまざまなトラブル

 漁港を含む港湾においては釣り人によるゴミのポイ捨てなどマナー問題から「釣り禁止」とするケースと、「安全や保安上の観点から立入禁止」とするケースがあります。

 各地で釣り人主導による一斉清掃が行われたり、気づいた釣り人が持ち帰る場合もありますが、拾ってもまた捨てられていたちごっこが続いています。残念な話ですね。

 また、ゴミ問題以上に気をつけなければならないのは事故を防ぐ安全管理あると思います。残念ながらライフジャケット着用率は低く、落水時の死亡事故の大きな原因となっています。

 その他、ロープに絡まった仕掛けにより船主が怪我をしたり、仕掛けをはずそうと船に乗り込んだためトラブルとなったり、仕掛けが船のスクリューに絡みつくなどのトラブルも発生しています。スクリュー部分から進入する細かい糸くずは船のギアボックスまわりの浸水・破損につながるので、釣り人が考えている以上に船主側が経済的ダメージを受けることになります。

早急なルール作りを

 「釣り人のモラルが問われる」とありますが、釣り人のモラルに任せられる状況なのでしょうか。

 釣り大会の一環で清掃が行われた後、「お疲れ様でーす」と吸殻をポイ捨てする釣り人を見かけますし、釣り場以外の道路側溝に吸殻をねじ込む釣り人が多くみられます。根本的な部分がわかっていないと言わざるを得ません。これでは将来の釣り人となる子供たちも心配ですね…。

 このまま何の手も打たなければ、どこも釣り禁止になってしまうのではないかと危惧していますが、自主的なルール作りや啓発活動は十分可能だと思います。

 良識ある釣り人は、できる事を考えて少しずつアクションしています。これが広がり「当たり前のルール・マナーを守る」ことにつながれば、良い流れができるのではないでしょうか。

 微力ではありますが漁港における釣りの問題点を、漫画にまとめてみましたので、。下記のリンクよりごらんいただけますと幸いです。

 http://shimacomi.com/wp/2017/07/22/tsurimanners/

 また、「沖縄釣り情報ポータルサイト」誕生も良い流れを加速させてくれるものと期待しております。

sacom (漫画家/釣りライター・元ボートガイド)

http://shimacomi.com/

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

釣り人コラム:「釣り禁止」は減らせるか トップに戻る